2017/12/09 10:09
BASE Mag.を御覧の皆様こんにちは
はじめまして、ARCH∧BES(アークビス)と申します。
ARCH∧BES(アークビス)のブランド名は保存しておく場所や資料という意味を持つ[ARCHIVE]
（アーカイブ）、オーダースーツ等に用いられ既存の物を改変し新調することを意味する[BESPOKE]
(ビスポーク)、この２つの言葉を数学記号の論理積「∧」（＆と同義語）で結んだブランド名です。
ヴィンテージウェアを愛し、パタンナー経験を持つデザイナーが過去の素晴らしいデザイン、テクニックを基に研究、解釈し現代に再構築するブランドです。
今回ご紹介するアイテムはブランドの顔とも言えるアイテム
【US NAVY 1913年タイプ 13スターボタン ピーコート】です。
この商品はデビューコレクションから作り続けている商品なのですが、
お陰様で大変好評で雑誌掲載や問い合わせも多いアイテムです。
冬本番を迎えた今このピーコートをご紹介したいと思います。
自分で言うのも何ですが、とても凝った商品なので説明が長いかも知れません。
その点はご了承頂き最後までお読み頂けると幸いです。
全体的なデザインのソースは1913年のUS.NAVYユニフォームレギュレーションにある水兵用ピーコート。
10年代の物をベースに20年代の角型の衿形状、40年代のポケット袋布がコーデュロイ使いなど各時代の良い部分をミックス。
細部の仕様はヴィンテージのまま、現代的なシルエットとスタイルにモディファイドしたピーコートに仕立てました。
＜ディテール＞
1910年代〜40年代のヴィンテージピーコートと同じくテーラーで使用される毛芯と衿には麻芯を使用。
（この時代はまだ現代における一般的な洋服の製作に使われる接着芯はありません）
各芯は日本有数の毛芯職人さんと取り組んだ生地に合わせたオリジナルです。
これらの仕様の採用によりカジュアルなコートながらテーラーで誂えた様な美しいシルエットと徐々に着る人の体型に馴染んで行きます。
また袖山にはテーラードメイドのジャケットと同じく袖のシルエットを綺麗に出す裄綿を使用しています。
ヴィンテージのピーコートを独自に解析したオリジナルパターンの採用しているので、
肩に全体の重さを分散され目付け的には重量ある生地にも関わらず、着用時には全く重さを感じません。
これには着た皆さんが驚かれます。
大型の衿は後ろに抜けて風が入るのを防ぐために当時と同じく裏衿を切り替えたカッティングを採用。
普段は肩口~衿までのラインがテーラー仕立てのジャケットの様な美しいカーブを描き、衿を立てた際は首に吸い付きます。
衿裏には麻芯を留め付ける補強ステッチと強風時に衿を閉じ、未使用時には衿の裏へ収納可能なチンストラップが付属しています。
釦は現代では殆ど使われていない貴重なベークライト製37mm13スターアンカー柄ボタンは別注品。
チンストラップ用のアンカー柄釦には15.8mmミルスペック準拠の尿素ボタンを使用しています。
表地はコートに使用する生地としては限界値に近い900g/mのヘビーウェイトダブルフェイスメルトンを使用。
1913年の米海軍レギュレーションに従い船上の寒さに耐えられる水兵への支給品として背景を想定し商品化しています。
（別品番のロングピーコートは士官用としてこれよりやや軽いメルトンを使用）
裏地は起毛コットンネル地を裏使い。
着用時の滑りの良さと保温機能を両立させています。
これら毛芯、表地、起毛裏地の組み合わせによりレイヤードが形成、コート単体で十分な防寒性能を誇ります。
ミルスペックラベルを基にしたアイテム名をスタンプしたラベルと海軍工廠製を示す
「NAVAL CLOTHING FACTORY」ラベルを復刻したラベル並びに内ポケット内にオリジナルのユニオンチケットが縫い付けられています。
袖裏はレーヨン製やウール製の当時の物とは違い、強度と着脱の実用性を考えキュプラを採用しています。
ポケットの袋布はARCH∧BESの他の品番のJKでも使用したコーデュロイを使用。
他のアイテムの素材を共有しコストダウンを図るミリタリー仕様とハンドウォーマーの役割を忠実に再現しています。
また袋布自体も長年の経年変化でコーデュロイの毛羽が抜け落ちてしまい擦り切れ無い様にコーデュロイの下に綿の袋布を重ねた二重仕立てという見えない部分にも大変凝った仕様を採用してます。
またステッチも通常のピーコートよりも細かい運針数で縫製した当時の仕様を再現。
糸の色は当時の染色堅牢度の低い糸が退色した色としてあえて配色、身頃生地と相まって程よいアクセントになっていいます。
国内コート工場の熟練職人縫製による仕立ては徐々に経年変化でご自身の体型にフィットしていきます。
お届けの際はミリタリー納入品をイメージしたスペシャルＢＯＸに商品の概要が書かれたペーパーを入れてお届け致します。
※ MEN'S CLUB 2016年11月号掲載
※ MEN'S JOKER 2016年12月号掲載
※ CLUTCH Magazine 2017年4月号掲載
カラーはNavyとOlive Drabの２色になります。
ご使用頂くシーンとしてはお客様の普段お使いのアイテムに合わせて頂ければと思います。
カジュアルなアイテムながら決して子供っぽくならず、ヴィンテージの仕様を持ちながらシルエットと
フィット感はきっとご満足頂けると思いますので、気張らずにご自身の冬の相棒としてお付き合い下さい。
沢山のディテールがございますので、一つ一つ機能を探る楽しみもございます。
最後にARCH∧BES（アークビス）はお客様と共に歩むブランドスタイルを提案していきます。
他のブランドからすると同じアイテムでもやや高めの価格かも知れません。
ヴィンテージウェアをそのまま再現せず、デザインと内部的な仕立てを踏まえつつ再構築する事で
お客様と共に5年、10年と愛用出来るようなアイテムです。
ヴィンテージの仕様とテーラーテクニックが一体となった本格的なピーコート。
この機会に是非一度チェックしてみて下さい。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
