1913年の米海軍のレギュレーションを基に40年代までのディテールと仕様を取り入れながら現代的にモディファイドしています。

ぶ厚い生地と大きな衿をなじませる為に分割した裏衿によりテーラードジャケットの様な美しい登りのラインを持つ衿や、

肩の馴染みを良くする為に後ろ身頃側に回された肩線、甲板上の作業を考えた前振りにされたアームホールと袖のパターン等は当時を踏襲。

制服の上から着る為と屈強な米海軍兵士に合わせたややオーバーサイズなシルエットは現代的に見直したパターンとなっています。

これらのパターンメイキングと後にお話しする身頃内部の毛芯の効果により手に持った際は重量感のあるコートも袖を通すと全く重さを感じさせない

魔法の様な着心地はぜひ一度袖を通して頂きたいと思います。

素材は1940年代までのヴィンテージの米海軍ピーコートの生地を研究し、日本の尾州で織られたコートの生地としては限界に近い

１ｍあたり900gという超ヘビーウェイトなメルトンを使用しています。

上品な光沢を持ちながら、オーバースペックとも言える防寒性を持った生地で仕立てられたピーコートは

本来甲板上で着るギアとしての一面を持ながらどこかジェントルマンらしい上品さを忘れない時代のNAVYアイテムならではの衣服

かも知れません。

洋服の芯地は人間で言えば服の骨格ですが、外側からは決して見えないそれら内側に使われる芯地には基になった時代背景を踏まえ

現代で使われている一般的な接着芯では無く、高級スーツやコート等で使われる毛芯を使用してます。

既存の物では無く、日本でも数少ない作り毛芯の職人と共に表地に合せた物を使用しています。

毛芯を構成する羊毛は吸湿発散性しながら水分を含むと発熱する相反した性質を持っています。

これにより体を包み支えながら表地と体に徐々に馴染んで行き服と身体の一体感を生み出します。

また身頃の裏地にはヴィンテージのピーコートで使われるウールやレーヨンツイルでは無く敢えて表側が起毛加工されたコットンネル地を

選んでいます。

このネル地を裏返しに使用する事により着用しやすい滑らかさと保温性、経年変化による擦れ防止を図っています。

冬用の装備としての追求は本来見えないポケットの袋地までに及びます。

40年代のヴィンテージと同じくコットンコーデュロイが用いられていますが、ヴィンテージのテーラーテクニックを取り入れ

通常の袋地の上にコーデュロイを配した２重仕様になっています。

これにより表面のコーデュロイが何度も手を出し入れする事で擦り切れても穴が開き、ポケットの中の物が服の内部へ落ちる事はありません。

縫製に関しても当時の仕様を踏まえ通常のコートの1.5倍近い運針数を施しています。

強風時に衿を閉じた際に衿元から風が入るのも防ぐチンストラップや

アメリカ建国当時の州を表した今では貴重なベイクライト制の別注特大アンカーボタン、ポケットの中のオリジナルのユニオンチケット等

まだまだ語り尽くせないディテールや仕様が満載のコートですがぜひ袖を通して

当時のネイビージェントルマンを感じさせる一着を体感してみて下さい。

ご予約お待ちしております。